日本財団 図書館


 

他船と横付けした場合の乗船時、船から船に渡るときの海中転落が多い。先を競って出港しようとすることや、乗り移るところに照明がないことが一因である。
岸壁に飛び降りるときの転倒や捻挫も多い。甲板で滑って転倒するが、滑り止め塗装はすぐ剥げるので、板にした方がよい。網を引くときにもこれで滑らなくなった。
ウインチ操作時にワイヤーやフックが振れて、別の作業をしている人に当たることが多い。合図をしてもエンジンの音で聞こえないことが多い。袋網が上がると急いでフックを掛けようとし、しかもその時には同時にいくつかの作業をやらねばならず、作業に夢中になって、他の作業状況に注意が向かないからである。
網を流すときに、足で押したときやワイヤーに跳ねられて転倒や海中転落する事がある。ワイヤーが跳ねるのは、たるみやキンクがあったときに起こるが、ウィンチの一回巻きで操作するときには起こりにくい。
網から魚倉に落とす魚と一緒に落ちて埋没してしまうことがある。「おおなご」等の小さくて滑る魚の場合は蟻地獄のように埋没してしまう。魚倉の仕切(差し板)が崩れて埋没した例もある。
網替えの時には、甲板上が網で一杯になって、足もとが網に引かれることがある。

 

b.波崎
中型巻き網漁業の船員の聞き取り調査を行った。この漁種は、網を持つ網船、運搬船、探索船及びレッコ船の計4隻を1船団とし約40名で操業する。現在、7船団(7稼働)で約1300人から約300人に減少した。船員は高齢化し、50歳以上が70%を超えた。設備が良く漁獲がよい船には若年者が多い。約20年前から新船ができ、馬力、速力、漁具及び居住性が改善された。午後に出漁し漁場に向かい、1回の投網と揚網が合わせて2時間で、これを投網の制限時間まで3回ほど繰り返して、翌朝に帰港する。運搬船は帰港した後水揚げを行う。網船には若年者、運搬船には高齢者が乗る傾向がある。災害の経験と災害に関する意見は以下のとおりである。
揚網作業でボールローラーで網を捕まえて巻き上げる作業を、通常は網を渡す

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION